過去にホームシックにかかった事などなかった

それなのに
こんなにも寂しく悲しい想いをするなんて
急に、ヘレスの匂いが私を包み胸がキュンとなる
込み上げる寂しさ
胸に残る懐かしさ
まるで電池が切れたみたいに
呼吸が苦しくなる

フェルナンドの
純粋で真っ直ぐな瞳で見つめられ
アンドレスの匂いに抱かれて
彼らが生み出すコンパスの中で
いつ帰ってくるのか
と、訊かれると
切り取っていた感覚が蘇る

ママのキスも
パパの抱拗も
ドローレスの鼻歌も
子供たちの笑い声も
心の中で
静かにゆっくり流れる

電池が切れそうな自分を鈍らせなくては
涙が溢れて止まらなくなる

ふるさとは遠きにありて思ふもの


Buleria de Jerez